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回遊や渡りなど、生物の旅に関する論文&研究日誌
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T.R.ハリデイ、P.J.B.スレイター 編
西村書店

ウナギの降河回遊の研究は‘回遊という行動の理解’であるといえる。
そのため、行動学の勉強は非常に大切である。
ということで、「動物コミュニケーション」という動物行動学の本を買った。まずは、前書きについてふれてみたいと思う。


<行動の直接の原因を解明する方法>
・行動のレベルにとどまって研究する
動物自体は‘ブラックボックス’として扱われる。つまり、ブラックボックスに入力される刺激をいろいろ変えて、出力である行動がどのように影響されるかを観察する方法。その際、両者を仲介する内部機構の性質にはあまり深く関わらない。
・生理学の中に答えを見いだす。
神経ハードウェアの見地からの行動研究。感覚器と筋肉をつなぐ神経回路の分析。本質的には還元論の研究法であり、各レベルの機構を一つ下位のレベルの用語で説明しようとするもの。極言すれば、ヒトの心理学は究極的には原始の振る舞いに還元して理解されなければならない。


行動学における還元論の賛否
「行動の原因の研究は究極的には神経生理学の課題である」(Wilson,1975)
この主張の問題点
それぞれのレベルの機構には‘創造的特性 (emergent properties)’とよばれる性質があって、この性質は下位のレベルからは予測できない。
これを踏まえてMarr (1982)は以下のように述べた。
「どのような種類であれ、複雑なシステムが、そのシステムの基礎をなす構成要素の働きを単純に外挿するだけで理解されるということはありえない」


<行動の複雑さが研究スタンスに影響を及ぼす>
反射などは還元論立場が有効
求愛ダンスはなかなかその立場が取り難い。


感想
降河回遊はあきらかに還元論的たちばを取るのが難しい行動である。自ずと、研究スタンスは生物をブラックボックスと見なさねば研究は進まないであろう。しかし、現在の分子生物学をうまく利用すれば、生理学的なアプローチからの知見も多少得られると思う。そして、その生理学的な知見が行動にフィードバックできるようになればかなり、おもしろい研究になると思う。
ただ、極端に還元論的な立場、すなわち神経生理学の検証を回遊という行動に適応するのはかなり厳しいであろう。

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