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回遊や渡りなど、生物の旅に関する論文&研究日誌
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Steven J. Parker and James D. McCleave
J. Mar. Biol. Ass (1997) 77, 871-889

Abstract
河口域で超音波によるアメリカウナギ(Anguilla rostrata)の追跡追跡調査を行い、黄ウナギのホーミングと銀ウナギの降河回遊行動を観察した。ホーミングを行う未発達なウナギ(黄ウナギ期)、定着期のウナギ、親ウナギ(銀ウナギ期)のすべてのウナギは潮流を選択的潮汐輸送(STST)の形で、またおそらく適切な方向への移動の手段として利用している。黄ウナギ期のウナギは河口を遡上し、回遊する銀ウナギ期では夜の上げ潮の時に移動した。黄ウナギ期では、また昼夜を問わず下げ潮時に下流への移動を行った。定着期のウナギではSTSTを大規模な移動を行うためとホームレンジの範囲で移動するために利用していた。ウナギは移動時の大部分は表層やその付近にいたが、鉛直的な活動、一時的な中層から底への潜行行動も認められた。ウナギは移動時、海流に流されるか、海流の方向へゆっくりと泳いだ。ウナギは潮流を移動方法として利用しているが、上げ潮・下げ潮のどちらも輸送を最大限に生かした時期での行動はしていなかった。この研究によって、河口域における黄ウナギ期と銀ウナギ期のSTSTの利用、またあらかじめ考えられていたいくつかの移動の手がかりが意味をなさないことが明らかとなった。


選択的潮汐輸送(Selective Tidal Stream Transport:STST)
潮流・潮汐を利用した移動や輸送。例えば、ウナギの仔魚(シラスウナギ)において、沿岸から河口・川へ遡上する際、上げ潮時に、中層や表層に移動し潮流を利用し遡上し、下げ潮時は、底層にとどまり、移動を行わない。


感想
ウナギの行動を見るためのロガー系の数少ない論文で貴重な知見であると思う。少しSTSTにこだわり過ぎているきらいがあると感じた。論文中のウナギの‘migratory restlessness’は今後、行動実験を行う上で考慮すべき重要なものとなる可能性があると感じた。
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