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回遊や渡りなど、生物の旅に関する論文&研究日誌
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K Tsukamoto and T Arai
Marine Ecology Progress Series 220 265-276 (2001)

淡水域に一度も入ることが無く、海洋に定住しているウナギの存在を確かめるため日本の10地点から黄ウナギと銀ウナギ計69個体を採集しSrとCaの濃度をEPMAで計測し、回遊履歴を分類した。ストロンチウムの2次元画像から、海洋にいるウナギのレプト期とシラスウナギの段階にあたる耳石のコアでは高いストロンチウム濃度であることは共通していた。しかし、コアの外側は多様性に富んだストロンチウムの濃度であった。Sr/Caの線分析からコアから150μm(elver mark)のところにピークがくることが分かった。その外側のSr/Caのパターンは3つの回遊履歴(海ウナギ、河口ウナギ、川ウナギ)に分けられた。海ウナギは一度も淡水域に入ったことのない、Sr/Caが6.0以上の個体、河口域もしくは生息域を変えたSr/Caが2.5以上6.0以下の個体を河口ウナギ、淡水期に入りそこで定着したSr/Caが2.5以下のものを川ウナギとした。海ウナギはすべてのサンプルの中で20%を占め、川ウナギは23%、河口ウナギは57%であった。海ウナギの出現は沖合の島、小さい湾、河口を含む日本の4つの沿岸域で認められた。生息域を頻繁に変更する中間タイプの河口ウナギの発見そしてそれがどの地点でも見られることから、ニホンウナギは様々な生息域や塩分環境に適応できる柔軟な回遊パターンを持っていると示唆される。このことから、ウナギにとって淡水期への移動は行わなければならないものではなく、サケで言うところのFacultative Catadromyにあたるものと考えられ、海ウナギはいくつかあるEcophenotypeのうちの一つであることが考えられる。さらに、このことから幼魚期に様々な海洋環境を利用するウナギはウナギの産卵資源に多分な貢献をしている可能性が推察される。
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