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回遊や渡りなど、生物の旅に関する論文&研究日誌
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Yu-San Han, I-Chiu Liao, Wan-Nian Tzeng, Yung-Sen Huang, John Yuh-Lin Yu
General and Comparative Endocrinology 133 8-16 (2003)

台湾グループのGTHに関する論文。手法などはかなりかぶり気味の論文。比較をするときには重要な知見となると思う。

Abstract
ウナギの下垂体の生殖腺刺激ホルモンLHの完全長のcDNAのクローニングを行い、天然ウナギの下垂体ホルモンであるPGHα、FSH、LHのmRNAの発現動態を生殖腺の発達段階ごとに調べた。雌ウナギの成熟度は体色と卵径からJuvenile、Sub-adult、Pre-Silver、Silverの4段階に分けた。LHのcDNAは下垂体のTotalRNAからRT-PCRによってクローン化した。完全長cDNAは5’と3’RACE法により得た。LHは53bpの5’UTR、423bpのORF、170bpの3’UTRとPolyA tailからなる646bpであった。LHβ subunitはアミノ酸24残基のシグナルペプチドと116残基の成熟ペプチドからなると推定されるアミノ酸140残基の前駆体をコードしている。RT-PCRにより、銀化中においてもα subunitは安定していることが確認された。しかし、FSHとLHは卵巣の発達段階で異なる発現レベルであった。FSH、LHともに発現は検出可能であった。FSHではなくLHはSub-adultのステージで発現が顕著に増加していた。FSHとLHはさらにPre-Silver、Silverと増加した。我々ははじめて銀化中の天然ウナギにおける発達別のPGH-α, GTHⅠ-β, GTHⅡ-β mRNAの発現動態を明らかにすることができた。

考察では、
・GTHの塩基配列の種内の比較、オオウナギに近いこと
・PGHαの動態について
・LHの動態について Yoshiura et al.の知見との相違
 HanはJuvenileでも発現
 Yoshiuraは成熟したウナギで発現
 →この違いはRT-PCR法を導入した感度の違いによる。
・LHに関するHan et al.の考え:ビテロジェネシス前のLHの発現は銀化を進行させる雄性ホルモンを促すことを示している。
・FSHとLHの銀化時期の増加は銀化変態と配偶子形成のための性ホルモンの生産を促すものと思われる。
・卵形成期におけるFSHとLHの発現動態はおおむね反対である。

感想
いろいろ疑問に思う点がある。まず手法についてであるが、リアルタイムPCRの系があるにも関わらず、RT-PCRで定量している点である。さらに、考察でJuvenileやSub-Adultでも発現しているとしているが、自分の知見とは少しずれている。この点は論文の時に指摘すべき点である。図表からの結論がすこし整合性がとれていないと思われる。この点も考慮するべきである。
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