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回遊や渡りなど、生物の旅に関する論文&研究日誌
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K Rousseau, Y S Huang, N le Belle, B Vidal, J Marchelidon, J Epelbaum, S Dufour
Neuroendocrinology 67 301-309 (1998)

Abstract
原始的な真骨魚であるヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)における成長ホルモン(GH)を直接調節する視床下部および末梢の因子の能力を調べるために、我々は下垂体の初代細胞培養を行った。血清Freeの媒質で培養を行ったところ、下垂体は連続的にGHを産生し、最初の細胞に含まれていたGH量を超えた。Somatotoropin-release inhibiting hormone(SRIH-14)は濃度依存的にGH産生を阻害し、最大95%もの阻害効果があった。12日間の培養において脱感作は観察されなかった。サブタイプ選択的なSRIH作用薬レセプターを利用したところ、ウナギの成長ホルモン産生細胞のレセプターはほ乳類のsst1/sst4よりsst2/sst3/sst5クラスに関連していることが示唆された。Inslin-like growth factor 1 (IGF1)は濃度依存的にGH産生を阻害し、脱感作なしに最大85%の阻害効果があった。
IGF1とIGF2はGHに対してほぼ同様の効果があったが、インスリンは1000分の1の効果しかなく、このことはIGF1タイプ1レセプターが関与していること意味することを示唆している。これらの結果からウナギの成長ホルモン産生細胞はin vitroで他の因子なしにアクティブであり、in vivoにおいて阻害的な調節をうけていことが示唆された。この長期的な阻害効果に二つの候補物質は神経ホルモンであるSRIHと循環型のIGF1である。これらのデータは脊椎動物においてSRIH-GH-IGF1系が分子的にも機能的にも進化の初期で存在していることを示している。
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M Montero, L Yon, K Rousseau, A Arimura, A Fournier, S Dufour, H Vaudry
Endocrinology 139 4300-4310 (1998)

Abstract
真骨魚におてpituitary adenylate cyclase-activating polypeptide (PACAP)のcDNAはベニザケとタイナマズにおいてクローニングが完了しており、PAPCAPのアミノ酸配列に関してはStargazerなど他の魚類でも決定されている。しかし、現在までPACAPの脳内における詳細な分布に関しては知見がない。本研究ではPAPCAP27を抗体として原始的な真骨魚であるウナギを材料にしてPAPCAPの中枢神経系の局在を調べた。PACAPに反応したPerikaryaは間脳(視床下部の視索前野核と視床の背部および腹部核)においてのみ見られた。PACAP反応性の神経繊維はのの様々な場所、特に終脳腹側、間脳、中脳、小脳小弁、および髄脳において観察された。加えて、神経終末PACAPの濃密な蓄積は下垂体の末端部において確認された。ウナギの脳内に含まれるPACAPはHPLCとRIAによってその同定をおこなった。ウナギPACAPはmammalianPACAP38と共溶出された。クローニング解析から魚類においてPACAPの前駆体はGHRHの前駆体と同様であることが示されている。そこで我々は、PACAPとGHRHがGHの放出に関わる効率をウナギの培養下垂体を用いて調べた。用量反応実験によりPACAP27とPACAP38は同様の効果を持つことが示されたが、PACAP27に比べPACAP38は12倍の能力を有していることが示された。対照的にGHRHは高濃度でもGHの放出に影響を与えなかった。このことからPACAPは成長ホルモン放出細胞の調節に重要な役割を果たしている可能性が示された。
B Pradet-Balade, M Schmitz, C Salmon, S Dufour, B Querat
General and Comparative Endocrinology 108 191-198 (1997)

Abstract
3,5,3-トリヨードチロニン(T3)とチロキシン(T4)がαと甲状腺刺激ホルモン(TSH)β mRNAに与える影響ついて、銀化したヨーロッパウナギを用いて調べた。ノーザンブロット解析の結果、個体間でTSHβをコードするmRNAはその数と長さが様々であり、この多様性は明らかに甲状腺の状態とは関係が無かった。複数のバンドが出たときは、その強度に関してバンドを足しあわせた値として計算した。T3とT4のインプランテーションにより血中の甲状腺ホルモン(THs)を増加させると、TSHβ mRNAは減少した。チオ尿素(Thiourea)によりTHsを減少させると、αおよびTSHβ mRNAは増加した。In vitroの実験でT3とT4の処理で下垂体の細胞のTSHβ mRNAの発現は減少することが分かった。結論として、in vivoin vitroの実験によりヨーロッパウナギではT3とT4は下垂体TSHβ mRNAに対して負のフィードバック効果を示し、おそらくこれは直接下垂体に作用する可能性が示唆された。
J Marchelidon, M Schmitz, L M Houdebine, B Vidal, N Belle, S Dufour
General and Comparative Endocrinology 102 360-369 (1996)

Abstract
特異的かつ鋭敏なヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)GH(angGH)に対する相同のRIA法を開発した。精製したangGHを2万倍希釈して立てた抗血清はプロラクチン、甲状腺ほるもん、コイLH、下垂体切除したウナギの血清とは交差反応を示さなかった。ウナギの下垂体抽出物と血清による阻害曲線はangGHスタンダードのそれと平行であった。ED50は1~2ng/tubeの間であり、angGHの快復率は約100%であった。免疫組織学的解析において抗血清によりシラスウナギ、黄ウナギ、銀ウナギの下垂体の成長ホルモン分泌細胞(Somatotroph)にが特異的にラベルされた。シラスウナギ、黄ウナギ、銀ウナギの下垂体におけるGH量、黄ウナギと銀ウナギにおける血清におけるGH量を調べた。黄ウナギから銀ウナギへGHの変動も調べた。GHの産生は黄ウナギから銀ウナギになるとともに減少しており、このことはおそらく銀ウナギが成長を停止することに関連していると考えられる。自然環境下で絶食状態となる銀ウナギとは対照的に、実験的に3ヶ月間絶食させたウナギではGHの産生が増加した。このことはGHの調節は絶食(自然 もしくは 実験的)とウナギのステージ(黄ウナギか銀ウナギ)により行われていることを示唆している。
SZ Dou, Y Yamada, A Okamura, S Tanaka, A Shinoda, K Tsukamoto
Aquaculture 266 117-129 (2007)

Abstract
人為催熟したニホンウナギ(Anguilla japonica)の飼育下における産卵行動をDVDビデオを用いて観察した。人為催熟処理は常法に従った。本実験では、ホルモン処理したウナギ3組をシェルター入り、もしくはシェルターのない1.5m^3の水槽に入れ、20℃で24時間海水馴致させた。その24時間後、最終成熟と排卵を促すために、SPEを打ち、さらにその24時間後にHCGとDHPを打ち込んだ。ビデオ撮影は馴致期間から始め合計96時間撮影した。HCG投与前、雌雄ともにinactiveで水槽の底かシェルターにいた。HCGを投与すると、activeになり水槽の底を離れるようになった。HCG投与後のActivityに関してシェルター未処理群では全Activityの雌で67%、雄で45%であり、シェルター処理では雌雄でそれぞれ77%と78%であった。この時期の活動は他の時期に比べ雌雄ともにまた、シェルターの有無にかかわらずはっきりしていた。排卵と放精は一番活発している時間に水槽の上部(底面では無い場所)で行われた。排卵放精後はウナギはシェルターに戻る、もしくは底面に戻った。シェルター未処理のウナギ9匹中8匹(89%)がHCG投与後14-18時間で自然排卵を行った。これとは対照的にシェルター処理群ではHCG処理後14-20時間で9匹中4匹(44%)しか排卵しなかった。雄に関して、HCG処理後シェルター未処理群では雌に先立つこと2-4時間で活動が最も活発になり、シェルター処理群はそれが5-6時間であった。産卵行動の指標行動であるペアリングやチェイシング、タッチングといった求愛行動は本研究では観察されなかった。しかしながら多くの場合、雌雄間、もしくは雌雌間でしばしば短い期間を泳ぐ‘Cruise together’といった行動を発見した。これは人為催熟したニホンウナギでグループでの産卵行動を起こす可能性を示唆するものである。
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