回遊や渡りなど、生物の旅に関する論文&研究日誌
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SR Jeng, WS Yueh, GR Chen, YH Lee, S Dufour, CF Chang
General and Comparative Endocrinology 154 161-173 (2007)
Abstract
ウナギは海洋での回遊までPubertyがブロックされている特殊な生活史を持っている。我々はウナギの生殖腺刺激ホルモンのレセプターの分子データを初めて報告する。細胞外と膜貫通領域を含む全体の3分の2に当たるORFの部分塩基配列を得た。系統学的解析により、二つの生殖腺刺激ホルモンは硬骨魚のFSHRとLHRの二つのクラスターに入ることが分かった。リアルタイムPCRにより、GTHのリガンドとレセプターの発現量を測定した。未成熟な卵黄形成前のウナギでの下垂体のFSH-βとLH-βの転写レベルは似ていた。一方、卵巣でのFSHRはLHRに比べ100~185倍高かった。このことから初期の卵巣の成熟はFSHによって刺激されていることが明らかとなった。SPHによる長期間の処理により、ウナギの成熟をさせたところ、LHは増加し、FSHは抑えられた。卵巣では、FSHR、LHRともに成熟させたウナギで高い値を示した。性ステロイドによる処理により、E2はLH-βの発現量をあげたのに対して、FSH-βではTとE2により発現が抑えられた。一方、FSHR、LHRともにE2とTの影響は認められなかった。このことから、ステロイドのフィードバックは実験的に成熟したウナギで下垂体GTHに関して反対の調節をしているが、GTHのレセプターではその働きがないことが示唆された。結論として、ウナギのGTHに関して初めてその塩基配列、発現動態、調節機構に関する知見を得た。これらはウナギの成熟に関して新しい基盤となるものである。
General and Comparative Endocrinology 154 161-173 (2007)
Abstract
ウナギは海洋での回遊までPubertyがブロックされている特殊な生活史を持っている。我々はウナギの生殖腺刺激ホルモンのレセプターの分子データを初めて報告する。細胞外と膜貫通領域を含む全体の3分の2に当たるORFの部分塩基配列を得た。系統学的解析により、二つの生殖腺刺激ホルモンは硬骨魚のFSHRとLHRの二つのクラスターに入ることが分かった。リアルタイムPCRにより、GTHのリガンドとレセプターの発現量を測定した。未成熟な卵黄形成前のウナギでの下垂体のFSH-βとLH-βの転写レベルは似ていた。一方、卵巣でのFSHRはLHRに比べ100~185倍高かった。このことから初期の卵巣の成熟はFSHによって刺激されていることが明らかとなった。SPHによる長期間の処理により、ウナギの成熟をさせたところ、LHは増加し、FSHは抑えられた。卵巣では、FSHR、LHRともに成熟させたウナギで高い値を示した。性ステロイドによる処理により、E2はLH-βの発現量をあげたのに対して、FSH-βではTとE2により発現が抑えられた。一方、FSHR、LHRともにE2とTの影響は認められなかった。このことから、ステロイドのフィードバックは実験的に成熟したウナギで下垂体GTHに関して反対の調節をしているが、GTHのレセプターではその働きがないことが示唆された。結論として、ウナギのGTHに関して初めてその塩基配列、発現動態、調節機構に関する知見を得た。これらはウナギの成熟に関して新しい基盤となるものである。
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H Kamei, T Kaneko, K Aida
General and Comparative Endocrinology 146 83-90
Abstract
ウナギの卵形成期におけるFSHの生理学的機能を明らかにするために、ウナギの卵巣におけるrjeFSHのステロイド合成活性を評価した。雌ウナギのサケ下垂体抽出物を注射し卵発達を促し、異なった発達をした卵巣を用いてステロイド合成を調べた。これらの卵巣は卵成長と濾胞細胞の発達に従い3つのタイプに分けた。Type-Aは卵黄形成の初期もしくは前の段階であり、少ない濾胞細胞しかなく、rjeFSHによるステロイド合成は認められなかった。夾膜細胞が発達しているが顆粒膜細胞が未発達で第二次卵黄球期にあたるType-Bの細胞ではTの合成が促されたが、E2の合成は促されなかった。顆粒膜細胞・夾膜細胞のどちらも発達したType-CではT、E2ともに合成が促された。Type-CではsGTHと8-Br-cAMPによってもT、E2も合成が促された。hCGはTは同様に合成が促されたが、E2では促されなかった。このことから、FSHとhCGはウナギの卵巣においてステロイドの合成に異なった影響を及ぼしていることが示唆される。rjeFSHによって刺激した卵巣の卵径とE2とは生の相関関係をしめした。この結果から、アロマターゼ活性は夾膜細胞の発達に続く顆粒膜細胞にFSHが働きによるものと思われる。
General and Comparative Endocrinology 146 83-90
Abstract
ウナギの卵形成期におけるFSHの生理学的機能を明らかにするために、ウナギの卵巣におけるrjeFSHのステロイド合成活性を評価した。雌ウナギのサケ下垂体抽出物を注射し卵発達を促し、異なった発達をした卵巣を用いてステロイド合成を調べた。これらの卵巣は卵成長と濾胞細胞の発達に従い3つのタイプに分けた。Type-Aは卵黄形成の初期もしくは前の段階であり、少ない濾胞細胞しかなく、rjeFSHによるステロイド合成は認められなかった。夾膜細胞が発達しているが顆粒膜細胞が未発達で第二次卵黄球期にあたるType-Bの細胞ではTの合成が促されたが、E2の合成は促されなかった。顆粒膜細胞・夾膜細胞のどちらも発達したType-CではT、E2ともに合成が促された。Type-CではsGTHと8-Br-cAMPによってもT、E2も合成が促された。hCGはTは同様に合成が促されたが、E2では促されなかった。このことから、FSHとhCGはウナギの卵巣においてステロイドの合成に異なった影響を及ぼしていることが示唆される。rjeFSHによって刺激した卵巣の卵径とE2とは生の相関関係をしめした。この結果から、アロマターゼ活性は夾膜細胞の発達に続く顆粒膜細胞にFSHが働きによるものと思われる。
H Kamei, I Kawazoe, T Kaneko, K Aida
General and Comparative Endocrinology 143 257-266
Abstract
未熟なニホンウナギから初めて濾胞刺激ホルモン(FSH)を精製し、その化学的特性を調べた。FSHは未熟なウナギの下垂体を抽出し、Sephadex G-100によりゲル濾過を行った。その後、2段階式陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、HPLCを用いてTSK-gel Super-Qの濃度勾配に従い、DE-52上へ段階的に抽出し、FSHを精製した。精製物は分子量を計り、ニホンウナギ抗FSHβ血清との反応を確認した。精製したウナギのFSHはSDS-PAGEにて単一バンドであることを確認し、FSHβ、GPαとの反応についても確認した。精製したウナギのFSHの分子量は約33kDAと推定された。SDS-PAGEでの分離後、無傷の分子を検出した。これらのサブユニットの脱グリコシシル化は分子量を減じた。このことから、ウナギのFSHはGPαとFSHβの独立した糖タンパクサブユニットからなるヘテロ二量体であることが分かった。rjeFSHβ抗血清と反応した細胞は未熟なニホンウナギの下垂体のPPDで観察された。一方LHβに反応する細胞は観察されなかった。in vitroにおけるFSHの未熟な雄のウナギの精巣におけるTと11-KTの刺激を確認した。精製したFSHは、FSHのリコンビナントタンパク質と同様に量依存的に雄性ホルモンの分泌を促した。この結果により、内因性とリコンビナント両方のFSHは同じ活性を持ち、生殖腺の発達の初期に配偶し形成を促すものと考えられる。
General and Comparative Endocrinology 143 257-266
Abstract
未熟なニホンウナギから初めて濾胞刺激ホルモン(FSH)を精製し、その化学的特性を調べた。FSHは未熟なウナギの下垂体を抽出し、Sephadex G-100によりゲル濾過を行った。その後、2段階式陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、HPLCを用いてTSK-gel Super-Qの濃度勾配に従い、DE-52上へ段階的に抽出し、FSHを精製した。精製物は分子量を計り、ニホンウナギ抗FSHβ血清との反応を確認した。精製したウナギのFSHはSDS-PAGEにて単一バンドであることを確認し、FSHβ、GPαとの反応についても確認した。精製したウナギのFSHの分子量は約33kDAと推定された。SDS-PAGEでの分離後、無傷の分子を検出した。これらのサブユニットの脱グリコシシル化は分子量を減じた。このことから、ウナギのFSHはGPαとFSHβの独立した糖タンパクサブユニットからなるヘテロ二量体であることが分かった。rjeFSHβ抗血清と反応した細胞は未熟なニホンウナギの下垂体のPPDで観察された。一方LHβに反応する細胞は観察されなかった。in vitroにおけるFSHの未熟な雄のウナギの精巣におけるTと11-KTの刺激を確認した。精製したFSHは、FSHのリコンビナントタンパク質と同様に量依存的に雄性ホルモンの分泌を促した。この結果により、内因性とリコンビナント両方のFSHは同じ活性を持ち、生殖腺の発達の初期に配偶し形成を促すものと考えられる。
S.Bureau Du Colombier, V.Bolliet, P.Lambert, A.Bardonnet
Physiology and Behavior 92 684-690 (2007)
Abstract
シラスウナギ(Anguilla anguilla)の回遊行動におけるエネルギー量の影響を実験環境下において2004年11月と2005年の2月に調べた。ウナギは光の減退に対する反応により分けた。薄暗い状態で活発になり水流を利用し流れとともに移動した個体を‘active’とした。一方、実験中(24時間)下層に残ったままであったものを‘inactive’とした。採集した月によらず、‘active’なウナギは‘inactive’なウナギに比べ高いエネルギーを持っており、色素段階はより進んでいた。‘active’と‘inactive’の乾燥重量比の違いは色素段階のはじめですでに生じており、このことからシラスウナギの汽水域での回遊にとってエネルギー量は重要であることが推察される。異なった回遊戦略を引き起こすエネルギー状態の影響の可能性について考察した。
Physiology and Behavior 92 684-690 (2007)
Abstract
シラスウナギ(Anguilla anguilla)の回遊行動におけるエネルギー量の影響を実験環境下において2004年11月と2005年の2月に調べた。ウナギは光の減退に対する反応により分けた。薄暗い状態で活発になり水流を利用し流れとともに移動した個体を‘active’とした。一方、実験中(24時間)下層に残ったままであったものを‘inactive’とした。採集した月によらず、‘active’なウナギは‘inactive’なウナギに比べ高いエネルギーを持っており、色素段階はより進んでいた。‘active’と‘inactive’の乾燥重量比の違いは色素段階のはじめですでに生じており、このことからシラスウナギの汽水域での回遊にとってエネルギー量は重要であることが推察される。異なった回遊戦略を引き起こすエネルギー状態の影響の可能性について考察した。
Vincent V. Ginneken, C Durif, S Dufour, M Sbaihi, R Boot, K Noorlander, J Doornbos, A J. Murk, G vd Thillart
Animal Biology 57 453-465 (2007)
Abstract
黄ウナギから銀ウナギへの移行は銀化と呼ばれ、回遊に先立って起こる。この研究は銀化期間中のヨーロッパウナギのホルモン動態を報告した初めての研究である。銀化に伴い、TとE2は変化していたが、甲状腺ホルモンとGHは変化がなく、それらは春に高い値を示し、夏と秋は低いままであった。生理、形態、内分泌の各パラメータを用いて主成分分析をしたところ、銀毛は徐々に進行し、いくつかのステージを経ることが分かった。
Animal Biology 57 453-465 (2007)
Abstract
黄ウナギから銀ウナギへの移行は銀化と呼ばれ、回遊に先立って起こる。この研究は銀化期間中のヨーロッパウナギのホルモン動態を報告した初めての研究である。銀化に伴い、TとE2は変化していたが、甲状腺ホルモンとGHは変化がなく、それらは春に高い値を示し、夏と秋は低いままであった。生理、形態、内分泌の各パラメータを用いて主成分分析をしたところ、銀毛は徐々に進行し、いくつかのステージを経ることが分かった。