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回遊や渡りなど、生物の旅に関する論文&研究日誌
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Caroline M. F. Durif, Sylvie Dufour, Pierre Elie
Marine Ecology Progress Series 327 171-181 (2006)

Abstract
生殖機能の悪化がウナギ資源減退の原因である可能性がある。しかし、外洋で性的に成熟したウナギが未だ確認されていないため、自然環境下におけるこのステージのウナギの観察は不可能である。ウナギの生殖機能にばらつきがあるかどうかを調べるために、ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)の人為成熟処理に対する反応を調べた。本研究の目的は成熟処理によるウナギの生殖腺重量とビテロジェニンのばらつきを詳述することとそのばらつきをウナギ個々の特徴(体長、状態、齢、銀化)と関連づけることである。種々の地域の銀ウナギに毎週CPEを注射する成熟処理を3回行った。外部形態の測定は隔週で行い、月に一度血液と組織のサンプリングを実施した。成熟処理をしたウナギのほとんどは生殖腺重量が体重の50%にまで達したが、個々の反応は高いばらつきがあった。このばらつきの一部は個々のウナギの特徴で説明ができた。処理前に最も銀化が進行して高い肥満度の個体は最も成熟の反応が良かった。ウナギの年齢とエネルギーの蓄積には相関があり、そのことは回遊と成熟を遅らせることの利点と考えられる。さらに、最も高い卵巣の成熟が見られたのは体長が700mmクラスのものであった。
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Eric Feunteun, Anthony Acou, Pascal Laffaille, and Antone Legault
Canadian Journal of Aquatic Science 57 1627-1635 (2000)

Abstcact
本論文は北Brittany(フランス)地方の60平方㎞の流域における定着期のウナギの割合に基づき銀ウナギ(ヨーロッパウナギ)の脱出の評価を行った。降河回遊の変動はウナギTrapと環境要因との関係を調べた。集中的な電気ショッカーや袋網による漁獲を行いウナギのバイオマス、密度、集団構造を評価した。81個体の銀ウナギを含む合計564個体のウナギにピットタグを付けた。1996年には616個体のウナギを貯水池で採集し、68個体(11%)が銀ウナギであった。その後の降河回遊期間で678個体の中に12個体のピットタグを付けた銀ウナギが降河回遊のTrapで再捕された。7個体は1997年に貯水池で再捕された。このことから、(ⅰ)約20%の銀ウナギそのシーズンに降河した、(ⅱ)12%の銀ウナギが貯水池に残留しそのうち2個体(3.4%)は黄ウナギの特徴に戻った、(ⅲ)残りのウナギは子房したか貯水池のおり再捕できなかった、以上の三点が示された。また、全ウナギ(34000個体)のうち3000個体の銀ウナギの中の650個体(全個体の2%)のウナギが毎年、移動個体推定群として流域から出ていくことが推定された。
Miklos K. Pall, Ian Mayer, and Bertil Borg
Hormone and Behavior 41 377-383 (2002)


Abstract
多くの硬骨魚の雄において、血中の11-KTは親としての時期より、求愛期の方が高い値を示す。本研究では、特徴的な親としての行動をする、営巣時期を終えたイトヨ(Gasterosteus aculeutus)を用い、異なる産卵後の11-KTの血中量の変化と求愛行動の変化との関係を詳述した。11-KTはRIA法により測定したところ、求愛期はその後に続く親としての期間に比べ約34倍も上昇していた。さらに、一日に3匹以上の雌と交尾をしたものは一日に1尾と交尾したものに比べ11-KTの減少が早かった。産卵に参加しなかった雄の11-KTは高いままであった。

感想
状況証拠から11-KTと行動との関係を論じている。僕の姿勢と似たものを感じる。Discussinの最後に、ホルモン動態と行動に相関があるからといって単純に結びつけることはできず、さらに慎重に考えるべきであるというのはその通りである。しかし、相関の有無は大切な情報であり、基礎的知見としては欠かせない。来年の前半までにこの知見を固めたいものです。
R.K.Edel
Marine Biology 36 283-289 (1976)


Abstract
人為成熟のためにホルモン処理をしたアメリカウナギ(Anguilla rostrata)の銀ウナギ11個体の活動の活発さを記録した。コイの下垂体抽出物で処理した5個体は少なくとも部分的に成熟した。一方、羊のLHで処理した6個体はホルモンが影響せず、未成熟であった。未成熟のウナギは夜により活発になり、明条件から暗条件に移行する時間帯にもっとも活発であった。成熟したウナギは昼も夜も同様の活発さであったが、明条件から暗条件への移行期の活発さはそのままであった。どちらも移行期において活発であったことは、先天性の現象であることを示唆している。成熟したウナギに全明条件と光条件の変化をしたところ、一時的に生物学的時計を利用している可能性を示唆した。これらの発見は天然の産卵行動に関連しており重要である。


感想
昔の論文であり、図・表の読み取りに苦労した。
光条件の移行期で活発になるのは、僕も少し感じていたことで今後の実験の参考になった。
ただ、全体的に実験の計画がしっくりこなく、疑問がのこる論文である。
Akihiro Okamura, Yoshiaki Yamada, Satoru Tanaka, Noriyuki Horie, Tomoko Utoh, Naomi Mikawa, Atsushi Akazawa, Hideo P. Oka
Marine Ecology Progress Series 234 281-288 (2002)


Abstract
雨が降らないもしくは河川の水位の上昇がないのにも関わらず、低気圧の通過後には銀ウナギの降海回遊がしばしば起こる。このことからウナギの回遊行動は従来考えられていた降雨や水位の上昇よりむしろ低気圧に影響されていることが推察される。我々の解析により、銀ウナギの降海回遊は主に秋から冬にかけての水温の低下する新月に起こることが推察された。このことから、降海回遊は水温、月周期、低気圧の通過の三つの独立した環境要因によることが推察された。しかしながら、水温と月周期はウナギの回遊が開始される要因としては不適切である。一方、低気圧の通過は降海回遊の開始の最後のイベントとして充分である。このことから、低気圧の通過が銀ウナギが降海回遊を始める唯一のトリガーであることが強く推察された。


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